民事執行法の改正後の養育費の受け取りについて

養育費の不払いは本来、強制執行の手続きにより裁判所を通じて相手方の資産から強制的に回収することができますが、相手方の勤務先や銀行口座の支店名まで把握することは難しいケースが多く、強制執行のしようがありませんでした。

第三者からの情報取得手続きを自分で行うこともできますが、かなりの時間と手間がかかります。弁護士に相談されることをおすすめします。

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民事執行法の改正

2019年5月には民事執行法が改正され、「第三者からの情報取得手続き」という新たな制度が2020年4月1日に新設されました。

これにより、改正民事執行法では債務者の財産開示の制度が実行され、養育費の回収の実効性の向上につながることは間違いないでしょう。

参考 法務省「民事執行法」

財産開示手続きについて

民事執行法の改正により、財産開示手続きの見直しが行われ、仮執行宣言付き判決や養育費を取り決めた公正証書があれば、誰でも財産の開示手続きを請求できるようになりました。

財産開示とは

財産開示とは、債務者を裁判所に呼び出して債務者に質問して財産の有無や所在を確認する手続きのことです。

参考 法務省:公証制度

同時に、非協力的な債務者への罰則についても改められました。改正後には、債務者が正当な理由なく財産開示期日に出頭しないなどの場合、6ヶ月以下の懲役あるいは50万円以下の罰金が科せられることになりました!

取得が可能となったもの

  • 養育費を支払う側の所有している不動産情報
  • 養育費を支払う側の勤務先情報
  • 養育費を支払う側の有する預貯金などの金融資産の情報

不動産情報

「財産開示」という手続きを裁判所に申し立て、登記所から不動産の情報を取得することが可能になりました。

養育費支払い義務を負う相手が、土地や建物といった不動産を所有している場合、法務局に問い合わせることで、場所などの不動産の情報を特定することが可能になります。

土地や建物に関しては、不動産登記制度が採用されていますので、登記されている不動産の情報は法務局で管理されています。裁判所が法務局から養育費支払い義務を負う相手の不動産に関する情報を取得することにより、離婚相手が所有している不動産が明らかになります。

養育費支払い義務を負う相手に財産となる不動産があった場合は、不動産を差し押さえすることもできるかもしれませんね。

勤務先情報

「財産開示」という手続きを裁判所に申し立て、住民税の源泉徴収をしている会社の名称を把握している市町村や厚生年金を納付している会社を把握している年金機構から取得することが可能になりました。

養育費支払い義務を負う相手の勤務先が判明した場合

給与債権を差し押さえることができます。給与は債務者の生活に不可欠なため、原則として毎月の給与額の4分の1までしか差押えができないのが原則ですが、養育費債権については範囲が拡張されており、2分の1まで可能となっています

金融資産の情報

金融機関や振替機関などから金融資産について取得が可能です。

養育費支払い義務を負う相手の金融資産の情報について

従来、銀行預金に対する差押えを行う場合、養育費支払い義務を負う相手が保有している銀行の支店名まで債権者側で特定しなければ預金の差し押さえはできませんでしたが、第三者からの情報取得手続きでは、各銀行の本店に照会をすることができ、養育費支払い義務を負う相手がどの支店に口座を保有しているか照会することもできるようになりました。メガバンクやゆうちょ銀行に加えて、地銀や信金などの小規模の金融機関についても情報取得が可能になりました。

適切な手続きで養育費を受け取りましょう

このように民事執行法の改正にあたり、今後、強制執行による養育費の回収がしやすくなることが期待されています。

適切な手続きさえとれば、ほとんどの場合で養育費は確実に受け取ることができるでしょう。離婚したけれども養育費が支払われず悩んでいる方は、是非弁護士にご相談することをおすすめします。

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