養育費の支払額や支払期日について具体的な取決めがある場合、時効の問題が発生しますので、十分に気をつけましょう。
未払いの養育費を請求できる期間について
養育費は、子どもの養育に必要な費用として、親権者が非親権者に請求するものです。養育費について具体的な支払い義務が確定していない間は、養育費支払に係る権利が発生していないため、時効の問題は発生しません。
しかしながら、養育費の支払額や支払方法について具体的な合意が成立している場合は、養育費支払に係る具体的権利が発生しているため、時効の消滅があります。
養育費の支払い義務の時効期間については、「養育費の支払いをどのように取り決めていたか」で異なります。
取り決めの形態によって養育費の消滅時効期間が異なります
- 当事者同士の協議による取り決めがある場合
- 裁判手続きによる取り決めがある場合
- 養育費の取り決めがない場合
当事者同士の協議による取り決めがある場合
当事者の間の協議により、養育費の金額・支払方法・支払期限などについて合意した場合は、民法169条により養育費支払義務の消滅時効期間は5年となります。
裁判手続きによる手続きがある場合
調停や審判の手続きで養育費の具体的な内容が決められた場合、民法174条の2により養育費支払義務の消滅時効期間は10年となります。
養育費の取り決めがない場合
養育費について具体的内容を取り決めていない場合は、具体的な権利が発生していないため、養育費の支払い義務が消滅時効にかかるということはありません。
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未払い養育費の請求の時効を中断するには
時効の中断方法としては、①請求、②差押え・仮差押え・仮処分、③債務の承認などがあります。
①裁判所に請求を行う
主な請求方法には、支払督促や調停、訴訟などがあります。裁判所に請求を行い、「債務名義」を取得した場合、これまでの消滅時効がリセットされ、新たに10年間の消滅時効がスタートすることになります。
支払督促とは
支払督促の手続きは、裁判所を通じて相手に督促状を送付する手続きになります。相手が督促内容に一定期間内に異議を申し立てない場合、督促通りの権利が確定することになります。支払督促について仮執行宣言の申立てを行うと、時効が中断します。
調停とは
調停は、裁判所を介して当事者間で協議を行う手続きになります。調停により一定の合意が得ることができれば、調停時に遡り、時効は中断します。
訴訟とは
訴訟は、裁判所に訴えを提起する手続きになります。判決により請求内容が確定すれば、訴え提起時に遡り、時効が中断します。
②差押え・仮差押え・仮処分
これらは債務者の責任財産を把握し、その財産から回収を図る手続きになります。いずれも裁判所の法的手続きになりますので、裁判所に申立てを行って裁判所が許可することで認められることになります。
差押えとは
差押えとは、確定判決や調停調書などの債務名義に基づいて行う強制執行手続きのことです。
仮差押えとは
仮差押えとは、被保全権利と保全の必要性を疎明して行う保全手続きのことです。訴訟手続を行っている間に相手が財産等を散逸・隠匿してしまうおそれがある場合、暫定的にこれを押さえてしまう手続きになります。
③債務の承認
債務承認とは、債務者が債務の存在を認める行為のことです。具体的な一例は以下のようなものになります。
- 養育費の一部を支払う行為
- 養育費の支払いについて念書を交わす行為
- 養育費の減額や返済延長などを申し入れる行為
などの行為を行った場合、債務者が債務の存在を認めたことになるため、時効期間はリセットされることになります。
この債務承認に限り、消滅時効期間が経過した権利についても時効中断の効果が発生することになります。
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