相手の住所がわからないときの対処法

養育費の取り決めをする場合、まずは2人で話し合いを行うことが大切ですが、話し合いでまとまらない場合もあります。そのようなときは、家庭裁判所に調停を申立てることになります。

調停や裁判などの裁判所の手続きを利用する場合、原則として相手の住所がわかっていなければ利用することができません。調停の申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所とされています。

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また、相手の住所がわからない場合、裁判所からの書類が送付できず、相手方が裁判所に出頭することもできません

元パートナーの住所を把握するには

元パートナーの住所がわからないときは、住民票の除票や戸籍の附票を調べる方法が一般的です

「住民票の除票」とは、転居などの際、別の市区町村に異動になった場合、転居前の市区町村から発行される住民票の一種で、転居前の住所と転居先の住所が記載されたものになります。

「戸籍の附票」とは、本籍の市区町村において戸籍の原本と一緒に保管をしている書類で、その戸籍が編製されてから現在までの住所が記録されています。

何度も転居を繰り返している場合、住民票の除票を取得する方法では、複数の市区町村役場に申請をしなければいけないので、とても手間がかかります。しかし、戸籍の附票であれば、すべての住所変更の記録が一度に取得できるので、それほど手間はかかりません。
すでに他人になっている元配偶者の戸籍を請求することはできるのでしょうか?
戸籍には元配偶者も記載されています。戸籍を取れるのは基本的に「戸籍に記載されている人」やその親族になります。つまり、元配偶者も「戸籍に記載されている人」に該当しますので、請求する資格が発生します。

もし、ご自分で調査することが困難の場合は、弁護士の力を借りるのも一つの手段です。2020年4月の法改正で裁判所を通じて「第三者からの情報取得手続き」が利用できるようになりました。ご自身では把握ができなくても、弁護士に依頼をすると調査を行ってくれます。

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戸籍の附票の取得方法

元夫の戸籍の附票を取得できるのは本籍地の役所になりますが、郵送請求もできますので、本籍が遠隔地でも何ら問題はありません。

必要書類を同封して本籍地のある役所の戸籍係などの窓口へ郵送申請すれば、1週間ほどで手元に郵送してもらえます。

  • 請求用紙(役所のHPからダウンロード可)
  • 切手を貼った返信用封筒(切手代は役所によって違います)
  • 手数料(役所によって違います)
  • 請求者の本人確認書(運転免許証や健康保険証などのコピー)
  • 請求者情報(住所、氏名、生年月日、昼間連絡が取れる電話番号)
  • 申請者の署名と捺印
  • 請求理由と使用目的
  • 本人の委任状(*子供に代わって元妻が請求する場合)

閲覧交付制限がされている場合

離婚調停や裁判で利用する、という正当な目的があれば、別居中の配偶者であっても住民票の除票や戸籍の附票を取得することができますが、住民票の写しなどの閲覧交付制限がされている場合は、これらを取得することができません。

閲覧交付制限とは


被害者保護の目的から、配偶者からの暴力(DV)などの被害者の申し出により、DVなどの加害者から住民票の写しや戸籍の附票の交付申請があったとしてもそれらの閲覧や交付を制限する措置のことをいいます。

相手が転出届を出していない場合

居住地が変わった場合は、転出届を提出する必要がありますが、住所を知られたくない場合、住民票を異動させていないことも少なくありません。転出届を出していない場合は、自分で相手方の住所を調べることはとても困難です。

「相手の住所がわからず、調停で解決する見込みがない」というケースは、「裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認める」事情に該当するかもしれません。その場合は、離婚調停の申立てをすることなく、いきなり離婚訴訟を提起することも可能になります

弁護士照会制度を利用しましょう

養育費回収を弁護士に依頼した場合、弁護士は弁護士照会制度を利用して、元夫の現住所を調べることができます。

戸籍の附票で現住所が確認できれば問題ありませんが、元夫が転居届を出していない場合は、転居先が戸籍の附票に記載されませんので、取得しても現住所を知ることはできません。

次の方法としてお勧めするのは弁護士照会制度の利用です。戸籍の附票で現住所が確認できない場合は、弁護士に相談するのが得策でしょう。

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公示送達で訴訟を提起することも可能です

通常であれば、離婚訴訟を提起すると相手側の住所に訴状が送達されることになります。しかし、相手の住所がわからない場合、被告に対して訴状を送達できないため、原則として訴訟を提起することができません。

そのような場合は、例外的に「公示送達」という方法で送達することが認められています。しかし、公示送達を行うためには、相手の住所がわからないことを証明しなければいけません。

具体的に言うと、相手の住民票上の最後の住所地や勤務先などの現地調査を行い、相手が調査場所に居住または勤務していないことを調査報告書にまとめて裁判所に提出しなければいけないのです。

公示送達とは、裁判所の書記官が送達すべき書類を保管して、「いつでも送達を受けるべき者に交付する旨」を裁判所の掲示場などに掲示する手続きです(民事訴訟法111条)。

公示送達の申立て手続き

この公示送達の申立てを行う手続きは、自分の意思表示を相手に到達させたいけれど、相手の住所が分からないという理由で、意思表示を到達させることができない場合やその意思表示を到達させるための手続きになります ...

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公示送達は、掲示を始めた日から2週間が経過することで送達の効力が生じますので、相手が訴状などを受け取っていない場合であっても裁判手続きを進めることができるんです。

公示送達を認めてもらうために必要十分な調査を行うことはかなり難しいため、公示送達を利用する場合は、弁護士に依頼して行うことをおすすめします。

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