すでに公正証書や調停書、審判書がある場合、養育費請求調停を行わずに元配偶者の財産を差し押さえることが可能です。
養育費を強制執行する方法
養育費は、借金の返済や慰謝料の請求とは違い、強制執行することができます。
養育費の強制執行の手続きについて
強制執行するためには公正証書などの債務名義をはじめ、以下のような書類が必要となりますので、準備しましょう。
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強制執行に必要な書類について
- 公正証書による合意書正本、調停調書、審判書、判決文等の債務名義
- 執行分の付与
- 債務名義正本の送達証明書
- 戸籍謄本(全部事項証明書)
- 住民票、戸籍附票
- 法人の資格証明書(法人の登記事項証明書又は代表者事項証明書)
- 債権差押命令申立書表紙
- 当事者目録
- 請求債権目録
- 差押債権目録
公正証書による合意書正本、調停調書、審判書、判決文等の債務名義
養育費の強制執行をするためには、公正証書による養育費を支払う旨の合意書や調停調書、審判書、判決文のいずれかが必要となります。
また、公正証書の場合は、「支払いを遅滞した場合は、強制執行をされても異議を唱えない」と明記した文言(「強制執行受諾文言」と言います。)が明記されている必要がありますので、確認をしておきましょう。
執行分の付与
強制執行をする場合、上記の債務名義に、執行文という「この債務名義により強制執行をすることができる」という文書を付けてもらう必要があります。これを「執行文の付与」といいます。
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債務名義正本の送達証明書
公正証書が相手方に届いていることを証明する証明書になります。
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戸籍謄本(全部事項証明書)
公正証書の正本に記載された氏名と現在の氏名が異なる場合には必要となるものです。
住民票、戸籍附票
住所地が現在と異なる場合には必要です。ただし、発行から1か月以内のものになります。
法人の資格証明書(法人の登記事項証明書又は代表者事項証明書)
給与を差し押さえる場合、差押え先が法人の場合には必要となります。発行日から3ヶ月以内のものになります。
債権差押命令申立書表紙、当事者目録、請求債権目録、差押債権目録
この4つの書類は裁判所のホームページに記載例がありますので、それに従って作成することができます。
強制執行の手続きの流れ
書類が準備できたら、いよいよ強制執行ができます。強制執行の手続きについて説明します。
- ①裁判所に対して民事執行手続き申立てを行う(履行勧告)
- ②差押え命令( 履行命令)
- ③取り立て(強制執行)
①裁判所に対する民事執行手続き申立てをしましょう
養育費を支払うべき相手方の住所地、あるいは勤務先・差押え先の金融機関を管轄する裁判所へ必要書類を提出します。
申立方法
相手の住所を管轄する裁判所へ行き、必要書類に記入するだけです。また、裁判所に直接出向かなくても、電話だけでお願いすることも可能です。
「履行勧告」とは、離婚調停や公正証書(強制執行に関する記載がない場合)で定められた取り決めが守られない場合、調停をした家庭裁判所に再度申立をすることにより家庭裁判所から支払うように勧告してくれる制度のことです。
履行勧告は費用が一切かからないので、相手側の支払いがない場合は、すぐにでも申立を行うことをおすすめします!
②差押え命令が出されます
申立て書類に不備がなければ、裁判所から差押え命令が出されます。相手方と差押え先の勤務先や金融機関に対し、送達書が送られます
ここで注意したいことは
もし、元夫が正当な理由もなく、履行命令にも従わない場合、10万円以下の罰金が科せられることになります。しかしながら、『履行命令』には法的な強制力はないため、養育費の支払いを強制させることができません。
残念ながら、履行勧告・履行命令はともに養育費の支払いを強制できるものではありません。
③取り立て(強制執行)しましょう
差押え命令が相手方等に送達されてから1週間経つと権利者自らが義務者に対して取り立てを行うことができます。
強制執行とは?
強制執行で差し押さえが行えるもの
給与、銀行口座、不動産など
この中で、もっとも効果的なのが給与になります。なぜなら給与は毎月会社から支払われるものなので、長期的かつ安定して差し押さえが可能になるからです。
適切な手続きで養育費を受け取りましょう
養育費は、子どもが安心して生活していくために不可欠なお金です。
本来養育費は、適切な手続きさえとれば、ほとんどの場合で養育費は確実に受け取ることができます。離婚したけれども養育費が支払われず悩んでいる方は、是非弁護士にご相談することをおすすめします。