養育費の取り決めをしている場合(調停・審判・裁判など)の対処法

家庭裁判所で調停や審判、判決によってすでに養育費の取り決めがされている方は、家庭裁判所で履行勧告、履行命令することができます。その手続きは以下のとおりです。

養育費の取り決めをしている場合

  • ①家庭裁判所に対して民事執行手続き申立てを行う(履行勧告)
  • ②差押え命令( 履行命令)
  • ③取り立て(強制執行)

①家庭裁判所へ民事執行手続き申立てをしましょう

養育費を支払うべき相手方の住所地、あるいは勤務先・差押え先の金融機関を管轄する家庭裁判所へ必要な書類を提出します。

申立方法

相手の住所を管轄する裁判所へ行き、必要書類に記入するだけです。また、裁判所に直接出向かなくても、電話だけでお願いすることも可能です。

「履行勧告」とは、家庭裁判所が養育費の未払いがあるかを調査して、未払い分があれば取り決め通りに支払うよう催促する、というものです。

履行勧告は費用が一切かかりませんので、相手側の支払いがない場合は、すぐにでも申立てを行いましょう。調停をした家庭裁判所に申立てをすることにより家庭裁判所から相手へ支払うように勧告してくれます。

②差押え命令が出されます

履行勧告をしても相手が未払いのままで、家庭裁判所が適当だと認めた場合、一定の期限までに支払うよう命令を出してもらうこともできます。相手方と差押え先の勤務先や金融機関に対し、送達書が送られます。

ここで注意したいことは

もし、元夫が正当な理由もなく、履行命令にも従わない場合、10万円以下の罰金が科せられることになります。しかしながら、『履行命令』には法的な強制力はないため、養育費の支払いを強制させることができません。

残念ながら、履行勧告や履行命令はともに養育費の支払いを強制できるものではありません。

③取り立て(強制執行)しましょう

履行勧告や履行命令を行っても未払いのまま1週間経てば、元夫に対して取り立てを行うことができます。養育費に関して強制執行力のある書面がある場合は、地方裁判所に申し立てることができます。

強制執行とは?

強制執行は決めた期日までに債務を支払わない相手に、地方裁判所を通じて、給与などの財産を差し押さえてもらい、強制的に回収する制度になります。養育費も強制執行の対象となりますので、財産を差し押さえて回収することができるんです。

強制執行力のある書面の例


・判決
・審判調書
・調停調書
・和解調書
・公正証書(強制執行に関する文言有り)

これらがあれば、強制執行手続きを取り、相手の財産や給与を差し押さえることができます。

強制執行で差し押さえが行えるもの

給与、銀行口座、不動産など

一度給与などの差し押さえを行えば、未来の養育費も継続して確保が可能です。例えば、給与を差し押さえる場合、相手が同じ勤務先に勤め続ける限り、養育費を確保することができます。

適切な手続きで養育費を受け取りましょう

養育費は、子どもが安心して生活していくために不可欠なお金です。本来養育費は、適切な手続きさえとれば、ほとんどの場合で養育費は確実に受け取ることができます。離婚したけれども養育費が支払われず悩んでいる方は、是非弁護士にご相談することをおすすめします。

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